【都内】路面電車で、ゆっくり小旅行気分を味わいませんか?

2021年12月20日

路面電車の旅

明るく活気のある明治時代、日本で路面電車が街中を走るようになりました。

その後、電車や自動車の普及により、衰退していった路面電車ですが、現在でも東京では「東急世田谷線」と「都電荒川線(東京さくらトラム)」の2路線が健在です。

眺めて良し、乗って楽しい路面電車の魅力をご紹介します。

東急世田谷線

東急世田谷線三軒茶屋駅
東急世田谷線三軒茶屋駅

東急世田谷線は、世田谷区の三軒茶屋駅と下高井戸駅を結ぶ、路線距離わずか5kmの路面電車です。

世田谷線の線路は、環七通りと交差しています。

その昔、世田谷線の電車が通るたびに、環七通りの交通を止めていました。

ただでさえ交通量の多い環七通りが、大渋滞したため、路面電車が信号待ちをするスタイルになりました。

世田谷線の歴史

1907年(明治40年)に「玉川電気鉄道(玉電)」により、渋谷駅〜二子玉川駅間までの路面鉄道が開業しました。

路線は拡張され、1925年(大正14年)、三軒茶屋駅 〜下高井戸駅間が下高井戸線として整備されました。
これが現在の世田谷線です。

1938年(昭和13年)、玉川電気鉄道は現在の東京急行電鉄(東急)に合併されます。

1969年、渋谷〜二子玉川区間が廃止され、残った路線が世田谷線に改称されました。
世田谷線となった現在も、当時の玉川電気鉄道の略称「玉電」と呼ばれることがあります。

世田谷線の車両
2両編成のかわいい電車

幸福の招き猫電車

2019年は、世田谷線に改称されてから50周年記念の年。

記念企画の1つとして、「幸福の招き猫電車」が登場します。

幸福の招き猫電車
幸福の招き猫電車

つり革が招き猫になっていて、車内の床には猫の足跡のデザインされているそうです。

りっちゃん

どうして、招き猫なの〜?

それは、路線に「招き猫」発祥の地とされる「豪徳寺」があるから。
豪徳寺の白い招き猫、「たま」のイメージで作られたそうです。

招き猫発祥の地「大谿山 豪徳寺」の公式サイトはこちら

昔の世田谷線の愛称「玉電(たまでん)」にぴったりの電車ですね。

幸運になれそうです!
ぜひ、乗ってみたいですね。

世田谷線50周年記念公式サイトはこちら

都電荒川線(東京さくらトラム)

都電荒川線早稲田駅
都電荒川線早稲田駅

都電荒川線は、荒川区の三ノ輪橋駅から新宿区の早稲田駅を結ぶ、路線距離12.2kmの路面電車です。

都電荒川線の歴史

荒川線は、当初王子電気軌道により、1911年(明治44年)に開業しました。

路線の拡張を続け、1930年(昭和5年)、現在の三ノ輪橋駅〜早稲田駅間すべての路線が開通しました。

王子電気軌道は、その後、東京都交通局に合併され、名称が都電になります。
路面電車の全盛期を迎えます。

ピーク時には、東京23区内を中心に、41路線の都電路線が運用されていました。
総延長213Km、乗車数は1日約193万人を数え、都民の移動手段として不可欠な存在でした。

1960年代になり、交通渋滞が深刻になると、東京都は新たに地下鉄を整備し、都電の路線を次々に廃止にしました。

すべての都電路線は廃止される計画でしたが、1974年(昭和49年)に荒川線の撤去計画は撤回されました。

2017年、都電で唯一残った荒川線の愛称を募集し、「東京さくらトラム」の愛称になりました。

昔からの利用者は、王子電気軌道を略して「王子電車」や「王電」と呼ぶそうです。

駅に停車中の電車
駅に停車中の電車

■都電荒川線存続の理由

ピーク時に41路線あった都電ですが、現在残ったのは都電荒川線ただ1つです。

イッコ

どうして、都電荒川線だけ残ったの?

都電荒川線の軌道は専用に作られたものや、自動車道路中央に独立して作られたものが多いのです。

自動車道路と重なったり、一緒に走行する併用軌道区間が少ないため、自動車通行への支障が少なかったようです。

また、沿線住民と都民からの強い存続の要望もあり、存続が決定されたそうです。

車道と分かれている軌道空間

東京さくらトラム(都電荒川線)公式サイトはこちら

路面電車のメリット

都電荒川線路面電車
都電荒川線路面電車

東京では、2路線しかない路面電車。
その魅力を3つ紹介します。

小旅行気分が味わえる

世田谷線、都電荒川線、どちらも下町情緒あふれる風景を楽しめます。

世田谷線沿線では、梅雨の時期のアジサイスポットがいくつもあります。

一方、都電荒川線沿岸では、ボランティアによるバラの植栽が行われており、毎年1万本以上のバラが咲き誇ります。

車よりもゆっくり走る車内から、花や景色を眺め、小旅行気分を味わいましょう。

沿岸では、有名なお寺やカフェもあるので、1日乗車券を購入して楽しむのもいいですね。

気軽に乗れ、時間通りに目的地へ

路面電車の駅の高さは、一般道路と同じ、もしくは階段数段分高い程度。
段差が少ないので、乗り降りがしやすいです。

そして、路面電車は、専用軌道が設けられているので、比較的定刻運転が可能です。

バスのように気軽に乗れて、電車のように定刻に目的地にたどり着けるので便利ですね。

環境、人に優しい

路面電車は、電気で走っているので排気ガスが出ません。
電力は水力・風力などでも発電できるので、これからの時代の乗り物としてふさわしいかもしれません。

また、(先ほどお話ししたように)路面電車の駅と道路の高さがあまり変わらないので、乗るまでに階段やエレベーターを使用する必要がありません。

電車やバスより、バリアフリーの乗り物と言えそうです。

実際、都電荒川線は「人と環境に優しい交通手段」を目指しています。
視覚障害者誘導ブロックを全停留場に設置し、全車両に車いすスペースを設けるなど、様々な取り組みがされています。

まとめ(動画あり)

世田谷線の「玉電」と荒川線の「王子電車」、どちらも地域に愛されてる路面電車です。

環境や人に優しく、楽しめる路面電車。

ゆっくりと小旅行気分で乗って、ノスタルジックな旅を楽しみたい方におすすめです。

小さな車体がガタゴト走り、信号で止まったり、横断歩道を横切る姿に親しみを感じます。

車より遅い、愛らしい路面電車